消化器センター外科の紹介

腹腔鏡手術について

当院で力を入れている低侵襲治療としての腹腔鏡手術は既に、腹部外科の中で確立された治療とされているようです。今後この流れは止まらないと思われますが、先生のチームはこれからどのような事に取り組まれて行くつもりですか?
更に腹腔鏡手術の適応を広げて行きたいと思っております。低侵襲治療は単なる流行ではなく、テクノロジーの進歩に伴う必然ですから、労苦は多くとも挑戦して行かなくてはならない
更に腹腔鏡手術の適応を広げて行きたいと思っております。低侵襲治療は単なる流行ではなく、テクノロジーの進歩に伴う必然ですから、労苦は多くとも挑戦して行かなくてはならない筈です。

内視鏡学会の認定制度

内視鏡外科学会では技術認定制度がありますが、腹部領域の技術認定制度は合格率約4割程度の狭き門とされています。技術認定された外科医は2009年迄に全国で約680人、横浜市内では25人しかおらず、先生はその中の1人ですね。
技術認定とは、実際の術野の映像をビデオで撮影し提出された内容を審査員が複数で吟味しますので、単に器械の操作が上手であると言う事では無く、手術全体のマネジメントを効率よく行う事が要求されます。いわば手術指導医の認定を第三者の目で実際に見て行う様なものです。従って、技術認定医がいる手術チームの手術は良くマネジメントされている筈であり、より安心して治療を受けられると思います。当院での手術は腹腔鏡下でのものが多くなっておりますが、今申し上げた様に技術認定医である私の管理下に全て行う訳ですから自信を持って受診をお勧めできます。

当院における腹腔鏡手術

当院では2007年から2010年6月迄に胆嚢摘出術、虫垂炎の手術は90%以上が腹腔鏡下の手術で行われております。胃切除を伴う胃癌手術は42%、腸切除を伴う大腸がん手術は34%が腹腔鏡下での手術です。他院と比較して多い方なのでしょうか?
数では症例数の多い大病院には負けるかも知れませんが、腹腔鏡手術の率は変わらないかむしろ高いかも知れません。先に述べたように技術でも劣っている訳ではありません。
腹腔鏡下の手術は創(傷)が小さいが故に、痛みが少なく、早く動けるようになる為入院期間を短縮できる利点があります。前述の期間でドレンージを必要としなかった胆嚢摘出術87例の術後在院日数は平均3.07日、虫垂炎手術では159例で術後在院は平均2.95日と極めて短くなっております。当然開腹を要した症例はより重傷であり、追加処置が必要であるので開腹を余儀なくされたのでこれとは比較はできません。因に開腹での胆嚢摘出は14.9日、虫垂炎では10.7日を術後入院に要しております。
胃癌は術後の在院は平均16日、大腸がんは平均13日で術後退院となっております。開腹した場合は夫々18日、22日ですのでより早く家に帰れますね。国立病院機構で発表している胃癌術後23.4日、大腸がん術後23.1日(いずれも開腹、腹腔鏡下手術混合のデータ)と比較しても早く退院になっています。実は術後入院期間の短縮だけであれば、もっと短く7〜10日にできると考えているのですが、余り早く退院すると患者さんが不安を感じてしまう様なので今のデータになっております。
また、当院の特徴の一つに、循環器疾患を初めとする重篤な併存疾患を持っている患者さんが多いことが挙げられます。その為他院と比較すると腹腔鏡下手術の適応(手術可能と考える条件)が元々広いと思います。

腹腔鏡手術のメリット

その他に腹腔鏡手術のメリットはありますか?
腹腔鏡手術は映像を皆で見ながら手術を行いますので、若い研修医の諸君にも術者と同等の条件で術野を見て貰えますから、手術操作技術を習得するのは開腹手術よりむしろ容易です。勿論手術はモニター画面の中だけで行われるのではなく、その周辺で行われる事にも十分意識する必要がありますし、そもそもどの様な患者さんにどういう手術を行うかの判断には多数の経験が必要ですが、、、当院で初期研修を終えた或る研修医は腹腔鏡下での虫垂炎手術しか経験が無かったので、現在の病院に行った時に驚かれたそうです。